信じたがりの脳
著書「明日の幸せを科学する」で有名な心理学者のダニエル・ギルバートは、「メンタルシステムはどのように信じるのか」という論文を書きました。
彼の主張はこうです。
ある事柄Aの理解は、必ず信じようとするところから始まります。Aが真実なら何を意味するのかを、まず知ろうとします。そこで初めて、人はAを信じるor信じないかを決められるようになります。
次の文章を見てください。
白い魚がガリガリ君を食べている。
たぶんあなたの脳には、魚とガリガリ君のイメージが浮かんだでしょう。これは、無意味な文章に意味を持たせようとして、二つのイメージを関連づけた結果です。
ギルバートはある実験をしました。
参加者は「ディンカは炎である」みたいな無意味な文章を読まされ、数秒後に「正しい」と書かれたカードか「まちがい」と書かれたカードを見せられます。
その後に、どの文章が「正しい」に分類されたか思い出すテストを受けます。
ただし一部の参加者は、実験中ずっといくつかの数字を覚えているよう指示されます。
こうして他のことに集中力を削がれてしまうと、まちがった文章を「信じない」ことが難しくなるという極端な影響が出ました。
実験後の記憶テストで、数字を覚えさせられて疲れ切った参加者は、大量のまちがった文章を正しかったと認識しました。
つまり、脳が他のことに集中力を削がれているときは、人間はほとんど何でも信じてしまうということです。
脳はだまされやすく、信じたがるバイアスを持っています。たとえば、可能性の低い異常事態が起きる可能性を示されたり、大げさに示されると、無条件に受け入れやすいんです。
仮に、今後三十年以内にアメリカが財政破綻する確率を聞かれたら、あなたは財政破綻のイメージを浮かべます。「ガリガリ君を食べる白い魚」を、イメージしたときのように。そして発生確率を過大評価するでしょう。
投資でもこの仕組みは大事です。脳は信じたがりです。
この銘柄は上がる!とすぐ信じます。そんなときは立ち止まって考えてください。脳は信じたがりだと。
以上です。ツイッターやってます。