主権者のいない国
令和日本を俯瞰するため、敬愛する白井聡先生の「主権者のいない国」をお薦めします。2021年4月2日現在、Amazonランキング234位(日本論:1位、メディアと社会:1位)です。各論は、是々非々でご判断ください。「否認」をキーワードに描写された、無様で滑稽な令和日本に言葉を失いますが、前を向く覚悟ができました。
NTTの不祥事も「否認」がキーワードになっていると思いました。日本の国としての輪郭が、相似形としてNTTへ結晶しているからです。今回の不祥事は、「既に起きてしまった一大事の後始末」または「近未来に起きる一大事の備え」に違いないと思います。数十年以上、国策として耕してきた電気通信市場の競争環境を台無しにするには、明らかにされてない大きな理由があるはずです。仮に、「目的」に賛同できても「手段」を誤れば、世間には受け入れられない。誤った「手段」の後始末に、策を弄するほど、NTTは沼の深みに嵌って出られない。「否認」し続ける以外の選択肢を採るまで、呪縛は永遠に続くでしょう。
国民が「手段」の誤りを安易に見過ごせば、現行の手続き全般(立法、行政、司法)への信頼に大きな瑕疵を残す。政府は味を占めて手続きが粗雑になるだろうし、国民は政府の政策を信頼できない。政府の出鱈目をトリガーにして、自家中毒が日本を蝕む。結果、コミュニケーションの質が下がり、国民の分断は加速する。
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